京都大学 学際融合教育研究推進センター

リプロダクティブ・ヘルス&ライツ
ライトユニット

Reproductive Health and Rights Light Unit - SRHR.JP

連載:わたしのからだだから第4回 労働法とリプロダクティブ・ヘルス&ライツ 〜私のからだで過ごす人生は私のもの〜

京都大学リプロダクティブ・ヘルス&ライツライトユニットでは、UNFPA(国連人口基金)の依頼で世界人口白書2021の翻訳協力を行いました。この翻訳を行う上で、白書の中で強調したい点や日本における性と生殖に関する健康と権利(SRHR)との関係についてコラム形式で連載します。

私のからだは私のもの、私のからだで過ごす人生は私のもの。

その人生の中での「働く」ということについて、日本には女性の決定を後押ししてくれる法律や取り組みがあります。しかし「世界人口白書」でも言及されているように、法律や制度はきちんと活用されなければ意味がありません。そして適切な運用のためには当事者である私たちが、具体的にどのようなものが存在するのかを知ることが大切です。

男女雇用機会均等法と労働基準法

男女雇用機会均等法は、職場における男女平等を目指して1985年に制定されました。採用や昇進の際に性別を理由とした差別をすることを禁止したり、セクハラやマタハラを防止するよう事業主に義務づけたりする法律です。

労働者の保護を目的としている労働基準法においても、性別を理由とした賃金の差別禁止や、妊産婦を支えるためにとるべき対応が明記されています。産前・産後休業や育児時間(第67条「生後満1年に達しない生児を育てる女性は、第34条の休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる。」)の取得なども労働基準法で保障されている権利で、労働者の請求に応じない事業主は罰則の対象になります。(参考:「働く女性の母性健康管理措置、母性保護規定について」厚生労働省)

このように、法律上は職場において、男性も女性も同じようにチャンスがあり、それを選ぶ権利を持っているはずなのです。

厚生労働省の取り組み

最近では、法律だけではなく企業や自治体でも女性活躍を目指した様々な取り組みが進められています。ここでは厚生労働省の2つのサイトをご紹介します。

女性活躍推進法に基づき、全国の企業の情報や行動計画を公表しているページです。各企業の「働き方」や国の認定の情報を得ることが出来るため、学生や求職者の方におすすめです。

『両立支援のひろば Q&A』では妊娠・出産、育児や介護と仕事を両立する際に知っておきたい制度が掲載されています。家族のことを優先して自分のやりたいことを我慢してしまう前に頼れる仕組みはないか、女性だけではなくパートナーにも一度見ていただきたいサイトです。

以上ご紹介した2つ以外にも、働く女性に関わる法律や取り組みに関連した情報はたくさんあります。その中には、日々の仕事で壁を感じた時、人生の節目で自分の決定に悩んだ時、味方になってくれるものがあるかもしれません。

働く女性を取り巻く現状

ここまで女性が「働く」ことについての法律や取り組みを見てきましたが、実際はどうなっているのでしょうか。

例えば、労働基準法第68条では、「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と定められています。これに違反すると罰則として、30万円以下の罰金が課せられます。それにも関わらず、女性労働者のうち平成26年4月1日から平成27年3月31日までの間に生理休暇を請求した者の割合は0.9%との報告があります。

また、内閣府が毎年発表している「男女共同参画白書 令和3年版」では、令和2(2020)年の「給与の男女間格差は,男性一般労働者の給与水準を100とすると、女性一般労働者の給与水準は74.3」、「上場企業の役員に占める女性の割合は6.2%」となっています。このデータを見ている限り、日本の職場で男女平等が達成されているとは言い難いでしょう。

これには様々な要因が考えられますが、過去の「社会において男性が優遇されている原因」についての調査では、7割近くの人が「男女の役割分担についての社会通念・慣習・しきたりなどが根強いから」と答えました。「社会的に女性が家事をするものと決まっているから」、「今の状態が当たり前だと思っていたから」という理由で、やりたいことを我慢してしまっている方もいるのかもしれません。この社会通念は変えることが出来るのでしょうか。

一人一人が「自分の人生は自分のもの、法律でも保障してくれているんだから自分で選んで良いんだ」と踏み出し、皆が自信を持って好きな道を行く社会に出来れば素敵だな、と思います。

執筆者:吉川 美佳子(京都大学医学部医学科)

投稿:2021年07月05日