About
本邦におけるセクシャルアンドリプロダクティブ・ヘルス&ライツ(SRHR)の課題について、これまで医学、教育、社会学など各論で論じられていることを学際的に議論する場をオンライン上でつくり拡げることで、研究メンバーならびに市民の課題への姿勢を醸成する。
Point
SRHRは1994年に概念が定義されて以降、2000年から2015年にむけて国際保健の目標であった Millennium Development Goals8項目中4項目を占め、2015年から2030年の目標であるSDGsにも複数箇所に明示されるなど世界の健康目標の中心である。現役世代の健康を次世代の数や健康の質につなげる観点は、高い効率を産むからだ。だが日本はSRHRの概念さえ普及しておらず、医療面では避妊や中絶の医療技術が多義的に制限され、また貧困者や若年者、また被災時のSRHRは無いに等しい。少子化対策や女性の活躍推進はSRHRの基盤なしには達成し得ない。本組織は異なる立場でSRHRに関わる者が次世代の真の健康のため本音で議論する場となる。
Activity
リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(SRHR)とは、人口問題は健康促進や医療知識・サービスの普及のみで解決できないという反省から産まれた言葉である。しかし、これほど少子化が進む日本において、なぜかSRHRは正面から議論されていない。
近年、少子化やセックスレス、子育て世代のワークライフバランスなどは労働や経済と関連付けて議論されている。現代女性の月経回数増加に伴う婦人科疾患や不妊の増加、出産高年化に伴う合併症妊娠、生殖補助医療の倫理などは医学分野で議論されており、他方、性的マイノリティの人権、性暴力被害者支援、DVや虐待の防止などは社会保障の観点から議論されて政策に反映されるようにまでなった。しかし本邦において、これらはSRHRの課題として認識されておらず、相互に十分な影響を及ぼし合っていない。
SRHRの意義は、現役世代の健康(身体的・精神的・社会的健康)を次世代の健康につなげることである。本邦において、次世代の健康のために今どの課題が重要で、乗り越えるには何をしたらよいのか、これまで医学、教育、社会学など各論で論じられていることを学際的に議論する場をここにつくる。言うまでもなく、このSRHRの課題範囲は当事者や医療従事者、行政だけに留まらない。いわばその課題を抱えることになった時代性や歴史、思想性等をも議論の俎上に載せることで学問性を付加し、付け焼き刃ではない本質的な課題の解決を狙う。
何を目指すのか
日本のリプロダクティブ・ヘルス&ライツの意義、課題について、徹底的に問うて学ぶ学際的議論を展開し広げることで、研究メンバーならびに市民の課題への姿勢を醸成する。
何をするのか
- リプロダクティブ・ヘルス&ライツの日本における意義を探求した上で、普及のため適切な日本語を開発する。
- メンバー間ではオンラインでの継続的対話ならびに1ヶ月に1回のオンラインミーティングを通じて、次世代の身体的、精神的、社会的健康のために、超少子高齢化を迎えている今なすべきことをあらゆる方面から模索する。この過程で、社会的困難女性を病院から支援するソーシャルワークプラットフォームKYOTO SCOPEと連動し、いま現実にリプロダクティブエイジの女性が直面している困難について情報を共有する。
- メンバーの議論を年2回、ウェビナーで公開し、市民にリプロダクティブ・ヘルス&ライツの概念を普及するとともに、参加者の問う姿勢を醸成する。
Member
代表
池田裕美枝(医学部附属病院産婦人科、医局員、非常勤医)
※敬称略、順不同
荒木 智子 | 大阪行岡医療大学医療学部理学療法学科 | 助教 |
池田 裕美枝 | 京都大学医学部附属病院産婦人科 | 医局員 |
磯野 真穂 | 慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 | 研究員 |
井上 真智子 | 浜松医科大学地域家庭医療学講座 | 特任教授 |
小野 美智代 | 国際協力NGOジョイセフ | 事務局 |
河村 有教 | 長崎大学大学院多文化社会学研究科・多文化社会学部 | 准教授 |
北 奈央子 | 株式会社ジョコネ。 | 代表取締役 |
後藤 美賀子 | 国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター | なし |
坂本 晴子 | 大阪赤十字病院新生児・未熟児科 | 副部長 |
柴田 悠 | 京都大学大学院人間・環境学研究科 | 准教授 |
下園 寛子 | 洛和会音羽病院産婦人科 | 医員 |
鈴木 美香 | 京都大学iPS細胞研究所 上廣倫理研究部門 | 特定研究員 |
June Low | ||
宋 美玄 | 丸の内の森レディースクリニック | 院長 |
中江 健 | 京都大学情報学研究科 | 特定助教 |
高木 大吾 | 株式会社デザインスタジオパステル | 編集者/代表取締役 |
辻 由紀子 | 大阪府子ども家庭サポーター/社会福祉士 | |
橋本 茜 | 京都大学大学院 医学研究科 健康情報学教室 | 博士課程2年 |
日吉 和子 | 大和大学医療保健学部 | 教授 |
三谷 はるよ | 龍谷大学社会学部 | 准教授 |
宮野 公樹 | 京都大学学際融合教育研究推進センター | 准教授 |
宮本 由紀 | ココカラウィメンズクリニック | |
森 臨太郎 | 京都大学大学院医学研究科・客員教授、国連人口基金・アジア太平洋地域事務所・地域アドバイザー | |
八鍬 奈穂 | 国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター | なし |
吉川 美佳子 | 京都大学医学部医学科 | なし |
吉田 穂波 | 神奈川県立保健福祉大学 ヘルスイノベーション研究科 | 教授 |
高橋 幸子 | 埼玉医科大学医療人育成支援センター地域推進センター |